株式会社LIANBABY代表取締役CEO 李 佳霖/Lee Karin

中国大連出身。1999年来日。大学院を卒業後、金融系広告業企画営業、大手ソーシャルメディア企画・運営など経て、2012年中国女性ためのコミュニティ『美ママ協会』を立ち上げる。

2013年株式会社LIANBABAYを設立、『美ママ協会』を含めた中国女性(ママ)向け商品プロモーション事業を展開。

2015年8月に、日本で唯一の中国女性(ママ)向け情報誌『美丽mama』を創刊。同年中国の北京と上海で「美ママ」コミュニティを展開。

2017年日本唯一の中国女性(ママ)向け情報サイト『MEILIGO』を設立。現在に至る。

 

日本最大級の中国女性(ママ)コミュニティから、中国にいる中国女性に向けて価値を創造する企業へ

——㈱LIANBABYの事業内容について教えてください。

中国女性(ママ)のためのコミュニティ『美ママ協会』を運営し、各種イベントを企画・実行しています。

また、在日中国女性を中心とした市場調査、座談会および販売促進に携わり、中国人消費者に向けた、日本の最新人気商品や中国人にオススメしたい日本のスキンケア、メイクアップなどの情報も発信しています。さらに、日本文化と旅行、ファッション、食など在日中国人から見た日本の情報を掲載する情報サイト『MEILIGO』を昨年設立しました。

これらを通じて、在日中国人ママの生活に役に立ち、中国にいる中国人に本当の日本の魅力が伝わればいいなと思っています。

 

やるのなら、最後までやりきる

——『美ママ協会』を設立する前は何をされていたのですか?

自ら事業を始めてバリバリ働いていた母の姿を幼いころから見て、自分も普通の人とは違う生活がしたいなと思っていました。

1999年、今から19年前に、私は一人で日本に留学することを決めました。大学在学中、周りの友人がバイトをしていた時に、私は池袋駅の近くにネットカフェを開店しました。

やがて自分の日本語能力が十分でないことに気づき、休みの日にはいろんなデパートを回り、化粧品コーナーのスタッフさんにスキンケア用品などの化粧品について根掘り葉掘り聞きました(笑)

こうしているうちに、日本語が上達しただけではなく、日本の化粧品についても詳しくなり、人気商品や化粧品ブランドに関する情報も身につきました。さらに、日本のサービス精神とおもてなしの心にも敬服するようになりました。

大学院でMBAを取得したあと、自分の能力を発揮したいと思い、日本の金融系企業の営業部に就職しました。

そこでは、同僚もお客様もほとんどが日本の方で、異国の地で就職したからには、私は誰よりも努力をすることにしました。結果的に努力は報われ、入社以来1番の営業成績を続けることができました。

仕事に余裕が出ると、自分が今まで失敗したことや、積み重ねた経験などを誰かと共有したい、自分と同じ境遇にいる仲間たちとコミュニケーションしたい、という想いが湧き出てきました。その想いは抑えきれませんでした。

 

想いをカタチに

——起業のきっかけを教えてください。

2012年に私は第一子の娘を出産しました。

産休明けに仕事に復帰した私には、勤務内容の変更はもちろん、責任のある仕事はまったく任されなくなり、それでも遅れを取り戻すべく努力したのですが、やはり一度第一線を離脱すると周囲の人の意識も変わったりするので、最前線への復帰は無理でした。

キャリアは積んだものの、時短で勤務内容も変化し、これ以上能力を伸ばせないまま年齢を重ねるのではなく、この「変化」を「チャンス」に変え、自分が好きな事に賭けてみたいという気持ちが大きくなり退職を決意しました。

そう決めた直後に私はWeibo(微博)でアカウントを作り、育児中の心得や悩みをメインとしてこまめに投稿しはじめました。こうした中、同じような思いや悩みを持っている多くの人と知り合いに、初めてのママ会を開催することになりました。

ママ会を開催したことで、ママ友を集めて育児の悩みを共有することで、不安を解消しつつストレスの発散にも繋げ、異国の地でひとり子育てをしている中国人ママにとって、このような交流会は欠かせないんだと、心から感じました。

当時はまだ、組織的に人を集めて交流会を開く企業がありませんでした。ないなら私が作るしかないと思ったのが起業のきっかけです。

 

起業は難しい。でも始めたからには、やり続けないといけない。

——どのように『美ママ協会』と㈱LIANBABYを作っていったのですが?

第一子の娘を育てながら、私は『美ママ協会』を立ち上げました。定期的にママたちを集め、様々なイベントを通じて皆の子育てを支援していきたいと思っています。

下の子を妊娠した2013年にLIANBABAYを立ち上げ、『美ママ協会』を運営しながら、中国女性(ママ)向けの化粧品やマタニティ・ベビー用品などを含めた日本の商品のプロモーション事業も開始しました。

ゼロからのスタートはとにかく大変でしたね。起業自体も難しいし、特に男性経営者が多い中で、女性経営者は大変な場面が多くあると思います。でもそれが逆にすごく貴重な機会だったと思うんです。

スポンサー探したり、お客様に会ってプレゼンをしたりして評価していただけることもあれば、白い目で見られたこともありました。

振り返ってみると、娘が熱を出して体調を崩した時もありましたね。お客様と会う予定をこちらの都合で勝手にキャンセルするわけにはいけないので、そういう時は娘を抱きながらお客様に会ったりしました。幸いお客様は優しい方ばかりで、本当に助かりました。

また、資金を調達するために家を売ったこともあり、娘ふたりの保育園費用も払えず苦しい時期もありました。このままもう一度会社員に戻れば、普通の生活ができるかもしれないと考えたことは何度もありました。

その時の自分を奮い立たせていたのは、「成功するまでやればいい。途中でやめるから失敗と言われるんだ」という考え方でした。自分を強く信じることが大事だと思います。

そして6年間頑張り続けてきた結果、『美ママ協会』への注目度が高まり、中国にいるママたちもこの『美ママ協会』を通じて日本の育児に対する考え方や日本の商品をもっと知りたいとコメントしてくれるようになりました。

最初のお客様との交渉成立から今まで、日本や中国で多くの大手起業と戦略的パートナーシップを締結しています。現在『美ママ協会』が主催したイベントは90回を超えました。中国の北京や上海でも「美ママ」コミュニティを展開しています。

 

家族の支えがあるからこそ、私は好きな事ができている。

——起業するにあたって、やはり旦那さんの協力は不可欠ですか?

そうですね。女性が起業するのは、男性に比べて家族に理解してもらえることがとても大事だと思います。

第一子の娘を産んで仕事復帰し、勤務内容の変更に落ち込んでいる私に、夫が「今度は僕が支えてあげるから、好きなことをやってみて」という優しい言葉をくれました。夫の後押しがあるからこそ、私は心置きなく仕事を辞めて、子育てをしながら、好きなことができると思います。

会社の経営が落ち着いてきて仕事量が段々増えているなか、出張も多くなってきています。出張先へはなるべく子どもたちを連れて、スキがあれば小旅行がてら一緒に回ったりしますが、ハードなスケジュールの出張の場合は子どもを夫に預けて一人で行くこともあります。出張期間の娘たちのご飯を作って冷凍保存したり、外出用のお洋服を用意したりして、夫の負担を少しでも減らすようにしていますが、やはり申し訳ないと思います。

でも、そういう時に、夫はいつも「これは私と娘たちの大切なデートの時間だ。安心していってらっしゃい」と言ってくれます。

本来なら、男性が働いて、女性が家のことをやるという習慣が根強い東アジアでは、なかなか納得してもらえない状況なのに、こうして理解してくれて、子育てを前向きに手伝ってくれる夫がいるから、私は起業に専念することができたんです。本当に感謝しています。

 

我が家の鉄則――週末は“家族の日”

——仕事以外に家族とどういうふうにお過ごしですか?

いくら仕事が忙しいとしても、週末や休みの日を「家族の日」と定め、家族と一緒に楽しく過ごすのが我が家にとってのルールです。

連休があればよく家族で旅行に行きます。旅の途中でキレイな景色を写真に撮ったり、面白いことがあれば記録してブログに投稿したりします。いいホテルやレストランを見つけたら、連休明けにもう一度店に行って、取材交渉して、情報をまとめて中国人ママや訪日を予定している人に推薦します。

私の場合、起業といっても、やりたいことは他にもあるし、プライベートな時間も楽しみたいので、家族と過ごす時間をとても大切にしたいと思っています。

 

私を信じて、一緒に走ろう!

——起業した際に、人材はどのように集めましたか?

起業の準備をしている際に、カフェをオフィス代わりにして作業していました。営業から編集まで、すべて一人でやっていました。現在は、専属のスタッフが12人おり、『美ママ協会』が主催した交流会に参加するママの中から有望な方を採用したりもしています。

もちろん、子育てなどで忙しいので、無理のない範囲で勤務していただいています。たとえば、在宅勤務を希望するママもおり、その人が希望する働き方でそれぞれ働いてもらっています。

私はどちらかと言えば「行動派」で、何か思い立ったり、アイデアが浮かんだりすると、すぐに行動したがるタイプなんです。

スタッフからは「ずっと走っているイメージ」と言われました(笑)。それでもみんなは「一緒に仕事しているのは忙しいけど、楽しい」といってくれて、私にとっては最高の褒め言葉ですね。

「仕事と育児を両立したい!」という想いはママである自分だからこそ、その難しさが分かります。なので、私はスタッフみんなに「何があっても子どもを最優先にして」と言っています。仕事をみんなで協力し合う、助け合う。そんなつながりを作りたいと思っています。

子育ては決して容易なことではありません。でもママたちはみんな自分の能力を発揮したいという、小さな夢も持っています。それを叶えてあげられたらいいなと思っています。これは『美ママ協会』が目指していることでもあります。

 

「美」を世界中の中国人ママと共有したい。

——ふと気になったのですが、『美ママ』には、どんな意味が込められているのでしょうか。

私は、生きていることや、働いていることがとても「美しいこと」だと思っています。ワーキングマザーも、主婦も皆それぞれ自分の夢のために、家庭のために頑張っていて、本当に美しく、キラキラしているように見えます。ですから、そんな彼女たちを形容して「美ママ」と名付けました。

 

——今後の夢はありますか?

日本の魅力や日本の良質な商品をもっともっと中国人に知ってほしいです。そして、日本だけでなく、世界各地で中国ママ交流会を開催し、中国人ママ同士の交流を通じて助け合える関係づくりを目指しています。

たとえば、子どもが出来てママになった中国人女性が「美ママ協会」の交流会に参加したいとすぐ考えてくれるくらい、ママたちに根付いたものになりたいと思っています。

 

中国人ママたちがゆるやかにつながる場を作りたい

——最後にママたちに向けてメッセージをお願いします!

妊娠や出産は、私たち女性にとって大きな出来事の一つです。とても喜ばしいことなのに、一方で海外や地元じゃないところでひとりで子育てをする女性の中には「相談できる人がそばに居なくて心細い」、「子どもってどうやって育てたらいいの?」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

「同じ環境で子育てをしているからこそ理解しあえる。中国人ママ同士のつながりを深める」美ママ交流会に参加して、育児中の悩みを共有し、いろんなママと出会って、より豊かなママライフを楽しみましょう!そして自分がオススメしたい日本の良質な商品を世界各地にいる中国人ママにもっと知ってもらいましょう!

 

“美丽mama、brilliant life” は『美ママ協会』のキャッチフレーズです。子どもにとって美しいママでいれば、自分の人生の道も光り輝くことを意味しています。私たちママは、ママであることも大事ですが、自分らしくいることももっと大切です。――李 佳霖